労災事故で外ぼうに傷跡が残った場合の障害給付に、男女間格差がなくなります
労災事故で外ぼうに傷跡が残った場合の障害給付に、男女間格差がなくなります
業務上の事故で、頭や顔、首といった「外ぼう」に火傷や傷跡などが残った場合、労災保険から「障害補償給付」が支給されます。(外ぼう=日常的に人目に付く部分、外見のこと。)
この「外ぼう」に関する箇所がH23年2月1日より改正施行されました。
- 「男女」の文言が省かれます。
- 実質的には男性が女性の等級に引き上げられます。
- 「著しい醜状を残すもの」(第7級)と「醜状を残すもの」(第12級)の間に、
「相当な醜状を残すもの」として第9級が新設されます。
外ぼうの障害の程度 障害等級
- 著しい醜状を残すもの → 第 7級
- 相当な醜状を残すもの(新設)→ 第 9級
- 醜状を残すもの → 第12級
- 上肢の露出面に手の平の大きさ
の醜いあとを残すものなど → 第14級
これまで実際、どれほど違っていたかというと、- 「外ぼうに著しい醜状を残すもの」の場合
- 女性は第7級となり年金が支給
- 男性は第12級となり一時金のみ支給
同じ状態にもかかわらず、5等級もの差があり、年金と一時金という違いがありました。
この男女差について、憲法14条「法の下の平等」違反ではないかと裁判されており、
昨年、京都地裁でこの男女差別の規定が違憲であるという判決が出ました。
この判決を受けての改正です。
労災保険の障害等級表における基準は、70年以上も前の昭和11年に作られたものだそうです。
女性の社会進出や医学技術も進み、徐々に男女差の考え方や傷跡の軽減レベルも変化してきています。
ともあれ、外ぼうはもちろんのこと、労災事故は発生させないことが一番です。
これを機に、安全衛生管理体制の見直しを行ってください。